Canon PIXUS MG3630

iP4200が死んだ


 年賀状は元旦に作ると決めているのだが,いざ印刷しようと思ったら 12年選手の iP4200が死んでいた.厳密にいうとシアンとマゼンタのヘッドが相互交流を起こしているようで色がおかしい.まぁ流石に寿命だということで,Amazonや yodobashi.comでプリンタを物色する.現状基本的に年賀状しか使わないので適当なヤツで良い.印刷単機能で 3000円,複合機で 5500円くらいが最安のようだ.設置サイズもほとんど変わらないことと,技術的に遊べるレンジが広そうなWiFi対応の複合機(の型落ち),MG3630を買ってみることにした.接続性と紙送りに関しての前評判が悪すぎることが期待を高めてくれる.

 

無線LAN経由でのセットアップ


 翌日 8:50分に到着.早速開梱してセットアップ.で,無線LAN設定が…出来ない.期待通りである.本質的な問題は2つ.アクセスポイントモードにタイムアウトが存在することと,このプリンタが 2.4GHz帯にしか対応していないこと,

 まず前者.電源を入れてからインクタンクのセットを行う必要があるのだが,その間にほぼ確実にタイムアウトしている.このためネットワーク設定にたどり着いても SSIDを見つけることは出来ない.たしかにこのアクセスポイントモードはセキュリティ的にはザル状態で,集合住宅なら隣室から乗っ取ることすら出来ると思うが手抜き過ぎである.そして,アクセスポイントモードを再開するためのキー設定 (WiFiキー長押しで電源LEDの点滅を確認してスタートキー短押し -> WiFiキー短押し)がなぜか効かなかった.電源を Offして再Onする必要があり,地味に時間がかかる.

 次に後者.自宅では通常 5GHz帯を利用しており,未対応機器のために 2.4GHz帯も併用している.5GHz帯に接続された MacBookProは設定アプリに言われるがままに自身の接続情報を利用してプリンタを参戦させようとするのだが,5GHzに対応していないプリンタが繋がるワケが無い.従ってまず 2.4GHz帯につなぎ替えてからセットアップする必要がある.一般消費者はそんなことに気がつくはずもなく,渋々ケーブルをつないでセットアップしてAmazonのレビューに文句をたれるのだろう.と思いきや,2.4GHzにつないだ MBPからもルーターへの参戦設定に失敗した.ダメだこりゃ.で,iPhoneX登場.iOSアプリはプリンタのSSIDを見つけたあと,接続すべきルーターSSIDを指定させ,次にそのパスワードを入力させる.これなら 2.4GHz帯へのつなぎ替え必要なくね?下手に自動化しようとして,使いにくくなっている例であろう.

 

スマホ対応の本気度に時代を思う


 iOSアプリ地味にスゴイ.あらゆる設定が全部スマホで片が付くのである.まず現状のヘッド設定を印刷して,次にヘッド調整パターンを印刷してスキャンしてヘッド調整,最後に設定後のヘッド設定を印刷.「あぁ,このくらい差異が出るのか」というマニアックなチェックが全てスマホから出来るのである.あと必要かと言われるとそうでも無いと思うが,スマホから写真をさくっと印刷できる,というのはちょっと楽しいとは思った.後述するが,「スマホだけでも出来ること」の幅は格段に広がり続けている.

 

そして紙が詰まる


 ルーターへの参戦後は 5GHzの MBPからも検出が可能となる.プリンタドライバ・スキャナドライバだけ入れ,Canonアプリケーションは要らない.で,テスト印刷しようとしたら紙が詰まる詰まる.おお.コレか!と思ったが,どうやら先ほどスマホからハガキサイズの写真を印刷した際にプリンタ側の用紙設定を厚紙設定にしたからっぽい.え,そこ自動じゃ無いのかよ.で,エラーが出ているのでキャンセルしたいのだが,コレがどうやっても出来ない.MBP側からはキャンセルされていても,プリンタはエラー点滅しっぱなしだし,用紙設定の変更も出来ない.結局また Off/Onして再度テスト印刷をする必要があった.

 

だから年賀状作らなくちゃいけないんだよ


 そんなこんなでちょろっと格闘してからはさくさく使えるようになった.インクはたいして保たないらしいが,ヘッドごと交換できるというのは精神的にもラクでイイ.電源さえつなげば MBPからもスマホからもさくっと印刷できる,というのも良いものである.それどころか,例年使っている郵便局謹製のハガキデザインキットの宛名書きがダサすぎでスマホアプリから宛名書きを印刷してしまった.通信面の作成はドローイングソフトの使い勝手と細かな作業の必要性から MBP一択だが,コレもいずれはスマホからでも遜色なく出来るようになる気もする.

 

MBP要らない説


 やってみんべ,ってことで Photoshop Sketchを入れて作業.カスタムサイズでハガキの設定を作り (148mm x 100mm x 240ppcmで 3552px x 2400pxのキャンバスを作成),仕入れたイラストを waifu2xで超解像したものを配置,その他テキトーに作業したら MBPでの成果物と大差無くなった… コレを画像として吐きだして写真アルバムに保存,Canon PRINTアプリに移動して写真印刷で選択し,用紙設定を適当に設定して印刷,んー,画面が小さいという物理的な作業領域面積だけの問題で,スマホだけで出来なくは無いわ… 移動中とかにでも作業しようと思えばできるな.

 

画質は?


 やはり「それなり」である.5色インクの ip4200の全力と比較すればやはり粒状感は否めない.が,それは自分がそういう目線を持っているからというだけであって,ポストカードにサクッと印刷して楽しむ,というレベル=大きくプリントして本気で鑑賞するわけではない無い限り遜色ない画質と言える.その意味では 10年経っても基本的なスペックは変わっていない=必要とされていないということだろう.どうしても高解像度の印刷がしたい場合は,別途お金を払ってプロに印刷してもらえば良く,そのコストが問題になるレベルで印刷する必要があって初めてハイスペックプリンタ購入検討の余地が生まれるのだ.まぁでもソレ言ったら年賀状程度はプロに印刷してもらえばいいんだけどね…